予防歯科subjects

予防歯科について

入れ歯を専門としていた父の影響もあり、私は学生時代から入れ歯を一生懸命に勉強し、診療を行ってきました。

すると皮肉なことではありますが、歯科治療における重大な点に気がつきました。

どんなに適合の良い入れ歯を作っても、どんなに上手く虫歯の治療をしても、そしてどんなに完璧で正確なインプラント治療をしても、残念ながらもともとあった健康な天然の歯ほどには噛めないし、具合が良くないということです。

私が歯科医師として、最も大切にしたいことは、縁あって出会った患者さまに、生涯に渡って健康な口腔環境をつくり維持すること、つまり、いつまでも美味しくものが食べられて、楽しく会話ができ、そして素敵な笑顔で過ごして頂くことです。
そのためには、できるだけ歯を失わせないことが大切です。では、どうしたら歯を抜かずに済むのでしょうか?

8020推進財団・全国抜歯原因調査(2005)によると、歯を失う理由の41.8%が「歯周病」、32.4%が「虫歯」、11.4%が「破折」といわれています。では、

この歯科2大疾患である「歯周病」、「虫歯」をどうしたら予防できるのでしょうか?

歯周病と虫歯を予防するには

実は「歯周病」、「虫歯」という病気には共通した点があります。それは、細菌が起こす感染症であるということです。口腔内には、200種とも300種とも言われる数多くの種類の細菌が住んでいます。
細菌にはそれぞれ役割があり、「歯周病」を起こすもの、「虫歯」を起こすもの、そして何もしないもの等があります。

つまり、同じひとつの細菌が、すべて病気を起こすわけではないのです。
「若いとき、虫歯が一本もなくて、ぜんぜん歯医者に通ったことがないのに、中年になりかけたとたんに歯がぐらついてきた。」
という話をよく耳にします。これは、もしかすると虫歯菌が少なく、歯周病菌が多かったためかもしれません。

もちろん「虫歯」、「歯周病」ともに、原因は「細菌による感染」という一面のみで片付けることはできません。
それぞれ、色々な原因が重なって起きる病気です。歯を守るにはその患者さんごとの「歯周病」、「虫歯」になる危険性を考えたうえでの予防行為が必要であり、私たち専門家による歯ブラシ指導や生活習慣の指導が重要なポイントになってきます。